青色申告のメリット

新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日まで(新たに業務を開始した場合は2か月以内)一定の手続きを行うことにより以下のメリットがあります。

(1) 青色申告特別控除
65万円(貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して法定申告期限内に提出)または、10万円の所得控除
※不動産所得のみで貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上。独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上。の要件に当てはまらない場合は、10万円の所得控除になります。

(2) 青色事業専従者給与
事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額を必要経費に算入
(※白色申告の場合は事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ専従者一人につき50万円を限度、確定申告書にこの控除を受ける旨やその金額など必要な事項を記載)

(3) 貸倒引当金
年末における売掛金、貸付金の帳簿価額の合計額5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費算入

(4) 純損失の繰越しと繰戻し
純損失の金額が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除

(5) 少額減価償却資産の特例
30万円未満のものは、合計300万まで減価償却ではなく、一括で必要経費としての処理を行なうことが可能

 

割増賃金率の適用猶予の廃止

法定労働時間外の労働に対する割増率は25%ですが、月60時間を超えた分に関しては50%になります。
しかし、中小企業※はこの50%の割増賃金率の適用猶予があるため、月60時間を超えた分に関しても25%ですが、平成31年4月1日から割増賃金率の適用猶予の廃止が決定されました。

※中小企業とは
資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5000万円,卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主、及びその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人,卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主をいう。

非業務用から業務用へ転用した場合の未償却残高

例えば、居住用の建物(木造)を賃貸(住宅用)することにした場合の供した日における未償却残高の計算方法は、
例:建物の取得価額2,000万円、平成18年6月取得⇒平成29年4月転用
①まず、法定耐用年数の1.5倍に相当する年数及び償却率を求めます。
22年×1 .5=33年 ⇒ 0.031
②業務の用に供されていなかった期間における減価の額を旧定額法で計算します。
20,000,000円×0.9×0.031×11年=6,138,000円
③20,000,000円-6,138,000円 =13,862,000円
13,862,000円が転用日における未償却残高になります。

転用後の償却方法はその建物が新築か中古かにより異なります。

個人事業主が従業員の国民健康保険料を負担した場合

個人事業主が従業員の国民健康保険料を負担した場合、本来従業員が負担すべきものであるため、その従業員の経済的利益になります。そのため、会社が負担した国民健康保険料は従業員の「給与」となります。
なお、健康保険組合の規約をもって事業主の負担割合を増加させた場合は、健康保険法第162条により、その増加した割合による事業主負担の保険料も、事業主が負担すべき保険料になります。
そのため、経済的利益には該当しないので、「法定福利費」として処理します。

正社員とは?

実は正社員の定義は法律では定められておりません。
したがって、
①直接雇用
②雇用期間の定めがない
③所定労働時間勤務
を満たせば、就業規則で定義することにより時間給制であっても正社員として認められる場合があります。
なお、就業規則で正社員の定義に「固定給」の要件を加えること等で、フルタイムパートを正社員の枠から外せる場合があります。

常時労働者とは?

就業規則作成義務の「常時〇人以上」とは継続して労働契約が存する人数をいいます。
したがって、例えば週2日、半日勤務のアルバイトもカウントされます。
また、派遣社員については派遣元・派遣先ともにカウントされ、
出向者については原則として籍が出向元にあるのか、それとも出向先にあるのかで、判断します。